F200 薬剤


薬剤料は、次の各区分ごとに所定単位につき、薬価が15円以下である場合は1 点とし、15円を超える場合は10円又はその端数を増すごとに1点を加算する。

 

使用薬剤       単位

内服薬及び浸煎薬  1剤1日分

屯服薬        1回分

外用薬        1調剤

注1 特別入院基本料等を算定している病棟を有する病院に入院している患者であっ て入院期間が1年を超えるものに対する同一月の投薬に係る薬剤料と注射に係る 薬剤料とを合算して得た点数(以下この表において「合算薬剤料」という。)が 、220点にその月における当該患者の入院日数を乗じて得た点数を超える場合( 悪性新生物その他の特定の疾患に罹患している患者に対して投薬又は注射を行っ り た場合を除く。)には、当該合算薬剤料は、所定点数にかかわらず、220点にその 月における当該患者の入院日数を乗じて得た点数により算定する。

 

 2 1処方につき3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗う つ薬又は3種類以上の抗精神病薬の投薬(臨時の投薬等のもの及び3種類の抗う つ薬又は3種類の抗精神病薬を患者の病状等によりやむを得ず投与するものを除 く。)を行った場合には、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬及び抗精神病薬に係る薬 剤料に限り、所定点数の100分の80に相当する点数により算定する。

 

 3 注2以外の場合であって、1処方につき7種類以上の内服薬の投薬(臨時の投 薬であって、投薬期間が2週間以内のもの及び区分番号A001に掲げる再診料 の注12に掲げる地域包括診療加算又は区分番号B001-2-9に掲げる地域包 括診療料を算定するものを除く。)を行った場合には、所定点数の100分の90に相 当する点数により算定する。

 

 4 区分番号A000に掲げる初診料の注2又は注3、区分番号A002に掲げる 外来診療料の注2又は注3を算定する保険医療機関において、別に厚生労働大臣 が定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合には、所定点数の100分の60に相当する点数により算定する。

 

 5 健康保険法第85条第1項及び高齢者医療確保法第74条第1項に規定する入院時 食事療養費に係る食事療養又は健康保険法第85条の2第1項及び高齢者医療確保 法第75条第1項に規定する入院時生活療養費に係る生活療養の食事の提供たる療 養を受けている患者又は入院中の患者以外の患者に対して投与されたビタミン剤 については、当該患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝異常であ ることが明らかであり、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難 である場合その他これに準ずる場合であって、医師が当該ビタミン剤の投与が有 効であると判断したときを除き、これを算定しない。

 

 6 使用薬剤の薬価は、別に厚生労働大臣が定める。

 

 7 入院中の患者以外の患者に対して、うがい薬のみを投薬した場合には算定しな い。 8 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬し た場合は、当該超過分に係る薬剤料は算定しない。ただし、医師が疾患の特性等 により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その 理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。

(1) 「注2」については、区分番号「F100」処方料の(3)に準じるものとする。


(2) 「注2」の算定は、外来の場合に限る。なお、1処方とは処方料の算定単位となる処方をいう。


(3) 1回の処方において、2種類以上の内服薬を調剤する場合には、それぞれの薬剤を個別の薬包等に調剤しても、服用時点及び服用回数が同じであるものについては、次の場合を除き1剤として算定する。
ア 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合イ 固形剤と内用液剤の場合
ウ 内服錠とチュアブル錠等のように服用方法が異なる場合


(4) 「注1」における「その他の特定の疾患」とは、難病の患者に対する医療等に関する法律第5条に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)又は「特定疾患治療研究事業について」に掲げる疾患(当該疾患に罹患しているものとして都道府県知事から受給者証の交付を受けているものに限る。ただし、スモンについては過去に公的な認定を受けたことが確認できる場合等を含む。)をいう。


(5) 特別入院基本料等を算定する病棟を有する病院の長期入院患者に係る入院期間の算定は、当該特別入院基本料等を算定する病棟を有する病院となる以前からの入院期間を通算する。
また、入院期間の算定は第1章第2部入院料等の通則の例に準じる。


(6) 「注3」の多剤投与の場合の算定
ア 「注3」の算定は、外来の場合に限り、1処方のうち、内服薬についてのみ対象とする。この場合の「種類」については、次のように計算する。なお、1処方とは処方料の
算定単位となる処方をいう。

(イ) 錠剤、カプセル剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。
(ロ) 散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。
(ハ) (ロ)の薬剤を混合して服薬できるよう調剤を行ったものについては、1種類とす
る。
(ニ) 薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が205円以下の場合には、1種類とする。
イ 「注3」の「所定点数」とは、1処方のうちの全ての内服薬の薬剤料をいう。
ウ 「注3」の算定は、常態として投与する内服薬が7種類以上の場合に行い、臨時に投与する薬剤については対象としない。
エ ウの臨時に投与する薬剤とは連続する投与期間が2週間以内のものをいい、2週間を超える投与期間の薬剤にあっては常態として投与する薬剤として扱う。なお、投与中止
期間が1週間以内の場合は、連続する投与とみなして投与期間を計算する。
オ 臨時的に内服薬の追加投与等を行った結果、1処方につき内服薬が7種類以上となる場合において、傷病名欄からその必要性が明らかでない場合には、診療報酬明細書の摘
要欄にその必要性を記載する。


(7) 「注4」については、区分番号「F100」処方料の(10)に準じるものとする。


(8) ビタミン剤
ア 「注5」に規定するビタミン剤とは、内服薬及び注射薬をいうものであり、また、ビタミンを含有する配合剤を含むものである。
イ ビタミン剤に係る薬剤料が算定できるのは、医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断し、適正に投与された場合に限られるものであり、医師が疾患の特性により投
与の必要性を認める場合のほか、具体的には、次のような場合をいう。ただし、薬事承認の内容に従って投与された場合に限る。
(イ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であることが明らかであり、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合(例えば、悪性貧血のビタミンB12の欠乏等、診察及び検査の結果から当該疾患又は症状が明らかな場合)
(ロ) 患者が妊産婦、乳幼児等(手術後の患者及び高カロリー輸液療法実施中の患者を含む。)であり、診察及び検査の結果から食事からのビタミンの摂取が不十分であると診断された場合
(ハ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であると推定され、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合
(ニ) 重湯等の流動食及び軟食のうち、一分がゆ、三分がゆ又は五分がゆを食している場合
(ホ) 無菌食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿症食又はガラクトース血症食を食している場合
ウ ビタミン剤に係る薬剤料を算定する場合には、当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨を具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載しなければならない。ただ
し、病名によりビタミン剤の投与が必要、かつ、有効と判断できる場合は趣旨を診療報酬明細書に記載することは要しない。


(9) 「注7」については、区分番号「F000」調剤料の(6)に準じるものとする。


(10) 「注8」については、区分番号「F000」調剤料の(7)に準じるものとする。



疑義解釈 その1

(問128)湿布薬については、1処方につき70枚の制限となっているが、「70枚」の判断は、湿布薬の種類ごとに70枚ではなく、処方された湿布薬全体の合計枚数が70枚という理解でよいか。

(答)そのとおり。


(問129)「疑義解釈資料の送付について(その10)」(平成26年10月10日事務連絡)において、「1回の処方において、3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬の投薬を行った場合、同一処方したその他の薬剤を含む全ての内服・頓服・外用に係る薬剤料を所定点数の100分の80
に相当する点数で算定することになるのか。」との問に「そのとおり。」と答えているが、平成28年度診療報酬改定により、100分の80に相当する点数で算定することになる薬剤料の範囲は抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬に限定されるのか。

(答)そのとおり。


(問130)例えば、抗不安薬3種類、抗精神病薬1種類、睡眠薬1種類を1回に処方されていた場合、抗不安薬だけでなく、抗精神病薬、睡眠薬についても、薬剤料が所定点数の100分の80に相当する点数で算定するのか。

(答)そのとおり。


(問132)区分番号「F200」薬剤料の注2(向精神薬多剤投与の場合の100分の80減算)について、1剤(服用時点、服用回数が同じもの)に向精神薬とそれ以外が混在する場合、どのように計算するか。

(答)以下の例のとおり。

向精神薬A 79.3円

向精神薬B 184.4円

向精神薬C 20.4円

向精神薬以外5.6円

 

 

・調剤単位に求める点数

79.3+184.4+20.4+5.6=289.7円→29点

・向精神薬の点数

79.3+184.4+20.4=284.1円→28点

・精神薬以外の点数

29-28=1点

・薬剤料の逓減

28×0.8=22.4→22点

・逓減後の剤の合計点数

22+1=23点

 向精神薬D 164.4円

向精神薬E 61.0円

 

 ・調剤単位に求める点数

164.4+61.0=225.4円→23点
・向精神薬の点数
164.4+61.0=225.4円→23点
・薬剤料の逓減
23×0.8=18.4→18点
・逓減後の剤の合計点数
18点

 

向精神薬以外252.8円 ・調剤単位に求める点数
252.8円→25点
向精神薬F 365.9円 ・調剤単位に求める点数
365.9円→37点
・向精神薬の点数
365.9円→37点
・薬剤料の逓減
37×0.8=29.6→30点
・逓減後の合計点数
30点
  薬剤料合計23+18+25+30=96点