I003-2 認知療法・認知行動療法(1日につき)


1 地域の精神科救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている精神保健 指定医による場合 500点

 

 2 1以外の医師による場合 420点

 

 3 地域の精神科救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている精神保健 指定医と看護師が共同して行う場合 350点

 

注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等 に届け出た保険医療機関において、入院中の患者以外の患者について、認知療法 ・認知行動療法に習熟した医師が、一連の治療に関する計画を作成し、患者に説 明を行った上で、認知療法・認知行動療法を行った場合に、一連の治療について16 回に限り算定する。

 

 2 精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関においても算定できるもの ぼう とする。

 

 3 診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定する。

 

 4 認知療法・認知行動療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、所定点数に含 まれるものとする。

(1) 認知療法・認知行動療法とは、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害又は心的外傷後ストレス障害の患者に対して、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって治療することを目的とした精神療法をいう。


(2) 認知療法・認知行動療法は、一連の治療計画を策定し、患者に対して詳細な説明を行った上で、当該療法に関する研修を受講するなど当該療法に習熟した医師によって30分を超えて治療が行われた場合(「3」において、看護師により30分を超える面接が行われ、その後当該療法に習熟した医師により5分以上の面接が行われた場合を含む。)に算定する。


(3) 一連の治療につき16回を限度として算定する。


(4) 認知療法・認知行動療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。


(5) うつ病等の気分障害の患者に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル」(平成21年度厚生労働省こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。


(6) 強迫性障害の患者に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「強迫性障害(強迫症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。


(7) 社交不安障害の患者に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(8) パニック障害の患者に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「パニック障害(パニック症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。


(9) 心的外傷後ストレス障害に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「PTSD(心的外傷後ストレス障害)の認知行動療法マニュアル〔持続エクスポージャー療法/PE療法」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(10) 認知療法・認知行動療法の「1」は、地域の精神科救急医療体制の確保に協力等を行っている精神保健指定医がア、イ、ウのいずれか2つの要件を満たした場合に算定できる。

ア 精神保健福祉法上の精神保健指定医の公務員としての業務(措置診察等)について、都道府県(政令市の区域を含むものとする。以下本区分番号において同じ。)に積極的
に協力し、診察業務等を年1回以上行うこと。具体的には、都道府県に連絡先等を登録し、都道府県の依頼による公務員としての業務等に参画し、(イ)から(ホ)までのいずれ
かの診察あるいは業務を年1回以上行うこと。

(イ) 措置入院及び緊急措置入院時の診察
(ロ) 医療保護入院及び応急入院のための移送時の診察
(ハ) 精神医療審査会における業務
(ニ) 精神科病院への立入検査での診察
(ホ) その他都道府県の依頼による公務員としての業務

イ 都道府県や医療機関等の要請に応じて、地域の精神科救急医療体制の確保への協力等を行っていること。具体的には、(イ)から(ハ)までの要件を合計して年6回以上行うこ
と。
(イ) 時間外、休日又は深夜における救急患者への対応に関し、精神科救急情報センター等の相談員からの問合せに対応すること。具体的には、精神科救急情報センター等の対応体制(オンコール体制を含む)に協力していること。
(ロ) 時間外、休日又は深夜における外来対応施設(自治体等の夜間・休日急患センター等や精神科救急医療体制整備事業の常時対応型又は輪番型の外来対応施設等)での外来診療や、救急医療機関への診療協力(外来、当直又は対診)を行うこと。(いずれも精神科医療を必要とする患者の診療を行うこと。)
(ハ) 所属する医療機関が精神科救急医療体制整備事業に参加し、当該精神保健指定医が当直又はオンコール等に参加していること。
ウ 標榜時間外において、所属する保険医療機関を継続的に受診している患者に関する電話等の問合せに応じる体制を整備するとともに、必要に応じてあらかじめ連携している
保険医療機関に紹介できる体制を有していること。具体的には、(イ)又は(ロ)のいずれかの要件を満たすこと。
(イ) 時間外対応加算1の届出を行っていること。
(ロ) 精神科救急情報センター、都道府県、市町村、保健所、警察、消防(救急車)、

救命救急センター、一般医療機関等からの患者に関する問合せ等に対し、原則として当該保険医療機関において常時対応できる体制がとられていること。また、やむを得ない事由により、電話等による問合せに応じることができなかった場合であっても、速やかにコールバックすることができる体制がとられていること。

(11) 認知療法・認知行動療法を行った場合は、その要点及び診療時間を診療録に記載する。


(12) 認知療法・認知行動療法の「3」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害の患者に対して、地域の精神科救急医療体制の確保に協力等を行っている精神保健指定医が(10)のア、イ、ウのいずれか2つの要件を満たした上で治療を行うに当たり、治療に係る面接の一部を専任の看護師が実施した場合に算定する。ただし、この場合にあっては、次の全てを満たすこと。
ア 初回時又は治療終了時を予定する回の治療に係る面接は専任の医師が実施し、専任の看護師が同席すること。
イ 初回から治療を終了するまでの間の治療は、初回時に同席した看護師が実施し、当該看護師による面接後に、専任の医師が患者と5分以上面接すること。
ウ 看護師が面接を実施する場合は、患者の同意を得た上で当該面接の内容を録音し、専任の医師はその内容を、指示又は指導の参考とすること。


(13) 認知療法・認知行動療法の「1」、「2」及び「3」は、一連の治療において同一の点数を算定する。ただし、「3」の要件を満たす場合のうち、医師と看護師が同席して 30分以上の面接を行った日に限り、「1」の点数を算定できる。



疑義解釈その10

(問5)認知療法・認知行動療法3の施設基準において専任の看護師が受講するこ ととされている研修については、「認知療法・認知行動療法1又は2を行う 外来に1年以上勤務し、治療に係る面接に60回以上同席した経験を持つ看護 師を対象としたものであること」が満たすべき要件の1つとして規定されて いる。

① 研修受講時点で治療に係る面接に60回以上同席している看護師について は、上記の要件のみを満たさない研修を受講した場合でも、専任の看護師 が受講することとされている研修を受講したとみなして、届出を行うこと が可能か。

② ここでいう「治療に係る面接」は、認知療法・認知行動療法に係る面接 に限定されるのか。

(答)①可能である。②通院・在宅精神療法に係る面接など、認知療法・認知行動療法に係る面接以 外の医師が行う面接も含む。